作家、司馬遼太郎が新選組を描いた名作「燃えよ剣」が、54年ぶりに映画になった。主人公の副長、土方歳三を演じるのは、V6の岡田准一(39)。監督は原田眞人(70)で、やはり司馬作品を原作にした「関ヶ原」(平成29年)の大ヒットコンビが再びタッグを組んだ。
「混乱の時代に現れた若者たちの右往左往と魂の叫びがそこにはある。現代の世相とダブる維新動乱期という混(こん)沌(とん)を、土方は筋を通して生きた」と原田監督。「燃えよ剣」は、人は変革期にいかに生きるべきかを示している。市村泰一(ひろかず)監督作(昭和41年)以来の映画化だが、今こそ必要な作品なのだ。
その土方を演じる岡田は、「散り椿」(平成30年)以来の時代劇。土方が登場するシーンでの剣技を指導する。米ハリウッドの有名アクション監督をして「ここまで素早く動ける俳優は見たことがない」と感嘆させた身体能力とアクションセンスを、遺憾なく発揮する。
ヒロインのお雪には柴咲コウ(38)。新選組局長、近藤勇に鈴木亮平(36)。天才剣士の沖田総司には山田涼介(26)=Hey!Say!JUMP=など、共演陣も魅力たっぷりだ。
5月22日から全国公開。
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「燃えよ剣」は、幕末、佐幕派の剣客集団として名をはせた新選組の副長・土方歳三を主人公にした司馬遼太郎の歴史小説。武州・多摩の豪農の家に生まれたけんか好きの暴れ者“バラガキのトシ”こと土方が、盟友の近藤勇とともに幕末の動乱の中で浪士を集めて結成された新選組に身を投じ、ナンバー2として天性の組織づくりの才で、鉄の規律を持つ非情な戦闘集団を作り上げていく。
土方の指揮の下、隊は京都を舞台に多数の尊王攘夷派志士を捕殺するなどの功を挙げて幕府に認められる。だが、やがて大政奉還など歴史の大きな流れに翻弄され、時代に取り残された存在に。一人降伏を拒否した土方が、剣に殉じるまでの生涯を描く。昭和37~39年、週刊文春に連載。映画、テレビドラマにもなった。発行部数(新潮文庫)は上下巻で約458万部。