二階派絡みは定番? 東京、静岡、新潟…自民公認争い過熱





自民党・二階俊博幹事長=16日午後、東京・永田町の自民党本部(春名中撮影)

 衆院議員の任期満了まで2年を切る中、自民党内で衆院選挙区の公認争いが熱を帯び始めた。二階俊博幹事長が野党出身議員を党や二階派(志帥会)に入れた結果、他派の現職などと競合し、保守分裂になりかねない選挙区も目立っている。(広池慶一)

 ■長島氏の応援、二階派・土屋氏は?

 「この地域では新参者だが、骨を埋める覚悟だ」

 旧民主党出身で、昨年6月に自民入りした長島昭久衆院議員は6日、前回当選した東京21区ではなく、東京18区内のJR東小金井駅前で街頭演説に立った。

 同区は立憲民主党の菅直人元首相の地盤だ。自民党は14日付で長島氏を同区支部長に充てると通知した。ただ、「土菅戦争」で菅氏と争った二階派の土屋正忠元衆院議員との溝は残る。

 土屋氏は前回の平成29年衆院選も同区から出馬したが、菅氏に敗北。以後、同区の自民党支部長は空席だった。土屋氏は16日、産経新聞に「決定に反対はしないがまだ戦闘態勢だ」と強調。二階派のベテランは「土屋氏の応援がなければ長島氏は勝てない」と話すなど波乱要因は消えない。

 ■対決続く岸田派、細野氏とも激突

 公認争いが最も過熱しているのが静岡5区だ。

 「東京五輪の年におそらく解散・総選挙がある。政治生命を懸けた戦いをやらなければならない」

 先月29日、旧民主出身の細野豪志元環境相=同区=は静岡県富士市の街頭演説で、支援者約70人にこう語りかけた。細野氏は昨年1月、無所属のまま二階派に特別会員として入会。1万軒を戸別訪問するなど、支持のつなぎ止めに躍起だ。

 これに反発するのが、静岡5区で議席を争ってきた岸田派(宏池会)の吉川赳衆院議員=比例東海=だ。吉川氏は選挙区で3回連続で細野氏に敗れている。吉川氏は先月30日、富士市の会合で「悔しい思いをしているが(選挙区を)諦めない」とリベンジを誓った。

 党内には、いずれかが望月義夫元環境相の死去に伴う4月の静岡4区補欠選挙に国替え出馬するとの見方もあった。だが、16日までの候補者公募に細野、吉川両氏は応募せず、補選を舞台に調整する案は消えた。

 岸田派は過去、山梨で二階派の候補と骨肉の保守分裂選挙を戦った経緯もある。静岡で妥協すれば派を率いる岸田文雄政調会長の求心力にも関わるだけに、吉川氏の選挙区公認にこだわる。二階派幹部も「(細野氏は)無所属でも十分勝てる」と引き下がらない。

 ■細田派も旧民主・鷲尾氏と争う

 新潟2区でも旧民主出身で昨年3月に自民入りした二階派の鷲尾英一郎衆院議員=同区=と、細田派(清和政策研究会)の細田健一衆院議員=比例北陸信越=が争う構図になっている。

 細田派のベテランは「党県連は細田氏の選挙区公認を前提に鷲尾氏の入党を認めた」として、鷲尾氏の比例転出を働きかける。しかし、党の選対幹部は「鷲尾氏は勝算があれば無所属でも新潟2区から出る可能性はある。最後は2人の力勝負かもしれない」と語る。



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