北海道の新千歳、函館、旭川など7空港の一括民営化が動き始めた。第1弾として今月、各空港ビルの運営が一体化され、滑走路などの空港施設業務も来年3月までに民営化される。国と都道府県、市が管理する空港の一体的な民営化は全国初で、空港数も多い。その成否は、国が進める空港経営改革の試金石の一つになりそうだ。
「7空港一体運営の第一歩を踏み出した。過去に前例のないプロジェクト。北海道に大きな可能性をもたらし得る壮大な事業のスタートラインに立った」
18日、新千歳空港で開かれた記念式典で、7空港の運営を担う北海道エアポート(千歳市)の蒲生(がもう)猛(たけし)社長はこう気を引き締めた。
鈴木直道知事も「北海道と国内外の交流が加速する新交流時代の幕開けの年としたい。新千歳の国際ゲートウエー(玄関口)機能を全道に拡大し、戦略的な路線誘致と誘客促進の実現によって北海道が活性化することに期待している」と力を込めた。
同社は新千歳の空港ビルを運営してきた北海道空港や三菱地所、東急、日本政策投資銀行、サンケイビルなど17社が出資する特別目的会社。昨夏、国土交通省などの公募で仏パリ空港公団などの陣営との競合を制し、7空港の30年間にわたる運営権を得た。
7空港の各空港ビルの経営は今月15日、それぞれ第3セクターから北海道エアの各子会社に移行。空港施設業務は6月に新千歳、10月に旭川が民営化され、来年3月には稚内、釧路、函館、帯広、女満別が続く。
最大の課題は7空港の収益力の格差だ。収益を左右する年間旅客数(平成30年度)は新千歳が国内5位の約2363万人で、唯一の黒字経営。一方、道内2位の函館は約178万人で国内では22位にとどまる。
新千歳以外の6空港は、観光地への足となる二次交通の乏しさなどから赤字を余儀なくされてきた。民営化後は、ビルの利益を空港の着陸料引き下げに充てるなど柔軟な経営で、競争力を高める方向だ。