防衛省が自衛隊の運用を支える人工衛星の電波への妨害に備えようと、新しい監視機能の装備を開発する方針であることが18日、分かった。昨秋、北大西洋条約機構(NATO)の軍事演習の際、北欧で衛星利用測位システム(GPS)への電波妨害が起き、ロシアの関与が疑われ、衛星の電波への妨害の脅威は高まっている。防衛省は調査研究費を令和2年度予算概算要求に計上し、妨害への監視機能の保有に着手する。
衛星の電波への妨害として注目されているのは昨年10月から11月にかけてNATOの大規模軍事演習トライデント・ジャンクチャーが北欧ノルウェーを中心に行われている間、同国などで米国が運用するGPSの電波が妨害を受けたことが確認され、民間航空機の運航に危険が生じた問題だ。ノルウェー政府は妨害にロシアが関与したと指摘し、ロシアは関与を否定した。
GPS衛星の電波には時刻と位置情報が含まれ、それを受信することで地球上の物体の位置を測定できる。日本政府は平成22年、日本版GPSの準天頂衛星みちびきの初号機を打ち上げ、令和5年度をめどにみちびきを7基態勢とし、米国のGPSに依存せずに位置を測定できるようにする計画で、すでに自衛隊の運用にも活用を始めている。