施政方針演説 首相、五輪全面に 「新しい時代へ」





衆院本会議で施政方針演説する安倍晋三首相=20日午後、国会・衆院本会議場(川口良介撮影)

 安倍晋三首相の施政方針演説は、今夏の東京五輪・パラリンピックを踏まえ、五輪に縁のある人やエピソードが多数盛り込まれた。

 演説冒頭、首相が触れたのは、広島に原爆が投下された昭和20年8月6日に広島県で生まれ、五輪史上、初の衛星生中継が行われた昭和39年の東京大会で、聖火リレーの最終走者を務めた坂井義則さん(故人)だ。「堂々たる走りは、戦後の焼け野原からの復興を世界に力強く発信した」と紹介。今年の東京五輪を機に「国民一丸となって新しい時代へと踏み出そう」と呼びかけた。

 社会保障政策では、「パラリンピック」の呼称が初めて使われた39年大会の開催に尽力し、「日本パラリンピックの父」と呼ばれる医師の中村裕(ゆたか)さん(同)に言及した。成長戦略では、39年大会の「東洋の魔女」が登場。金メダルを獲得したバレーボール女子日本代表が当時使ったボールを製造した広島県の工場が、現在も大会公式球を作り続けている事例を紹介し、高い技術で地域経済に貢献する中小・小規模事業者の事業継承を支援する考えを示した。

 外交では、講道館柔道の創始者で、国際オリンピック委員会(IOC)の日本人初の委員として戦前、五輪の東京誘致に奔走した嘉納治五郎氏(同)の言葉「世界各国民の思想感情を融和し以(もっ)て世界の文明と平和とを助くる」を引用。五輪の精神を今後の日本外交に生かす考えを示した。(大島悠亮)



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