西村康稔経済再生担当相は20日、衆院本会議での経済演説で、昨年12月に閣議決定した財政支出13兆円超の経済対策に基づき「切れ目のない、万全なマクロ経済運営を進めていく」と表明した。幅広い世代に配慮した「全世代型社会保障」への改革を「安倍内閣にとって本年最大のチャレンジ」と強調し、政府の検討会議で夏の最終報告に向けて議論を深めるとした。
西村氏は経済の現状について「7年にわたるアベノミクスの推進を経て、わが国経済は、大きく改善している」と指摘。昨年10月の消費税率10%への引き上げについては「引き上げ前の駆け込み需要やその後の落ち込みは、現時点では前回引き上げ時ほどではない」との見方を改めて述べた。
ただ、米中貿易摩擦の動向や中国経済の先行きなど「海外発の経済の下方リスクに十分注意が必要な状況にある」とも指摘した。
全世代型社保改革に関しては、厚生年金の適用拡大や70歳までの就業機会確保など、今国会での関連法案成立に万全を期すとした。
ITへの投資加速を促す「デジタル・ニューディール」を「今こそ、国家戦略として展開し、産業や国民生活のスマート化を推進していく」と表明。今月1日発効の日米貿易協定にも触れ、既に発効済みの環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や欧州連合(EU)と結んだ経済連携協定(EPA)とも合わせ「海外の活力を積極的に取り込むことが不可欠」と述べた。
就職氷河期世代への支援は、昨年12月に策定した行動計画を踏まえ「お一人お一人に寄り添った支援に取り組んでいく」とした。