大阪市を廃止し、特別区に再編する大阪都構想をめぐり、特別区に移行した場合の住所表記について、大阪府市が令和3年春ごろに素案を作成し、住民の意見も聴いた上で、4年春までに新住所案を決定するスケジュールを検討していることが21日、関係者への取材で分かった。府市は都構想の制度案を話し合う31日の法定協議会で、特別区移行までの組織体制や事務作業をまとめた工程表を示す予定で、住所表記についても議論される見込み。
関係者によると、新住所案は素案を公表後、住民の意見や市議会での議論を踏まえ、4年春までに決定。特別区に移行する7年元日に市長の専決処分で正式決定される。新住所案決定から特別区移行まで3年近くの周知や準備の期間を設けることで、住民や企業・団体への影響や混乱を最小限に抑える狙いがある。
府市がこれまで法定協で示してきた住所表記の方法は、特別区の名称に続き、現在の行政区名と町名を表記する形を基本ルールとしている。たとえば「大阪府大阪市浪速区日本橋」は「大阪府中央区浪速日本橋」となる。
ただ、特別区名として残る「淀川区」「北区」「中央区」「天王寺区」や、方位と混同される恐れがある「西区」は、行政区名を省く形とするなど例外もある。
素案に対する住民の意見をどう聞き取るかは今後の議論だが、最大会派の大阪維新の会は、これらの例外規定を適用した上で、現行政区名を残すか否かを住民に問う形を検討している。区民アンケートや現24行政区の代表者らが参加する各区の区政会議などを活用するよう、31日の法定協で提案する方針だ。
ある維新議員は「住民の意見を丁寧に反映できるよう、慎重に検討したい」と話した。