電機各社の労働組合で構成する電機連合は23日、令和2年春闘の方針を決める中央委員会を横浜市内で開いた。方針案では、ベースアップ(ベア)に相当する賃金改善について、前年と同じ「月額3000円以上」を統一要求する一方、個別の企業で人材への投資分を上乗せすることも例外的に認める。24日の中央委で正式決定し、各労組が2月13日までに経営側へ要求書を提出する。
野中孝泰中央執行委員長は中央委の会合で「成長の原動力はまさに人材であり、人を大事にした日本的経営の意義を再確認する必要がある」と強調した。
方針案には「統一の賃金改善を基本としつつも、一定の条件を満たす場合に限り妥結における柔軟性を認める」との項目を明記。電機業界では、60年近くにわたり電機連合が要求をまとめ、各社の労組が交渉して一律の回答を引き出す「統一交渉方式」を採用しているが、業績格差が拡大していることなどを踏まえ、高水準の賃金を達成している企業に限り「レアケース」(野中氏)で人材投資分を上乗せした賃金での妥結も容認する。
電機連合のベア要求は7年連続で、代表的な職種である「開発・設計職」の基本賃金で3000円以上とした。昨年の春闘の妥結額は1000円だった。
ベア以外については、一時金は平均年間5カ月分を中心に、最低でも4カ月分の確保を目指す。長時間労働の是正や同一労働同一賃金の徹底なども求める。