《植松聖(さとし)被告への被告人質問は約30分の休廷を挟んで午後2時40分頃再開した。裁判長に促されて植松被告が証言台に座ると、弁護人は事件当日の経緯を確認していった》
弁護人「(やまゆり園を襲撃した)7月26日というのはどう決まったのですか」
植松被告「たまたまです」
弁護人「意味のある日ではないのですか」
植松被告「はい」
弁護人「7月にやまゆり園に行った直前、7月25日にどこに行きましたか」
植松被告「ホームセンターでハンマーと結束バンドを買いました」
弁護人「その前は」
植松被告「大した話ではありません」
《姿勢を正して弁護人の方に顔を向け、はっきりとした口調で答えていく植松被告。しかし、都合の悪い質問なのだろうか、たびたび戸惑ったような声で答える場面もあった》
弁護人「男性の友人、知人と会ったりしましたか」
植松被告「はい」
弁護人「どこで」
植松被告「河原で」
弁護人「朝昼晩では」
植松被告「夜です」
弁護人「何をしたんですか」
植松被告「大麻を吸っていました」
弁護人「その後は」
植松被告「その後…? その後は事件を起こしました」
《質問の意図が分からないような様子で答える植松被告。弁護人は、大麻を吸った後について細かく質問していく》
弁護人「河川敷へはどうやっていきましたか」
植松被告「車で行きました」
弁護人「車で家に帰ったのですか」
植松被告「帰っていません」
弁護人「どこに行こうとしたのですか」
植松被告「えー…あまり、えーっと、何て説明すればいいか。説明の仕方が分かりません」
弁護人「どこに行ったんですか」
植松被告「新宿駅に行ったりしました」
弁護人「その前にマクドナルドに行っていませんか」
植松被告「はい」
弁護人「マクドナルドで何をしていましたか」
植松被告「車を置いていきました」
弁護人「なぜですか」
植松被告「GPS(衛星利用測位システム)が付いているかと…大した意味はありません」
弁護人「そこからどうやって移動したんですか」
植松被告「ヒッチハイクで移動しました」
弁護人「どこまでですか」
植松被告「バス停まで」
弁護人「知らない人に乗せてもらったんですか」
植松被告「はい」
弁護人「そこでどうしたんですか」
植松被告「バスが来るまで待ちました」
弁護人「始発のバスに乗ったんですか」
植松被告「そうです」
弁護人「その後は」
植松被告「漫画喫茶に行って自分の考えをノートにまとめました」
弁護人「考えとは(この日の)午前中(の弁護人による被告人質問)で言ったような」
植松被告「そうです」
弁護人「その後は」
植松被告「車を取りに戻りました」
弁護人「漫画喫茶はどこですか」
植松被告「新宿です」
弁護人「車を取りに戻ったのは」
植松被告「地元の方まで戻りました」
弁護人「どこですか」
植松被告「津久井署だったと思います」
《その後、再び都内に向かう途中でホームセンターに行ったという》
弁護人「ホームセンターでどうしたんですか」
植松被告「ハンマー、結束バンド、ガムテープなどを買いました」
弁護人「1日のうち2回、東京に行った。最初は電車、2回目は車ですか」
植松被告「そうです」
弁護人「それからずっと車で移動したんですか」
植松被告「その後、タクシーに乗り換えたりしました」
弁護人「タクシーに乗った理由は」
植松被告「言うほどのことではありません」
弁護人「結局、車で神奈川県に戻ったのですか」
植松被告「そうです」
弁護人「東京に行ったり戻ってきたり。車の運転に問題はなかったのですか」
植松被告「少し乱暴だったと思います」
弁護人「事故を起こしませんでしたか」
植松被告「バンパーをぶつけました」
弁護人「ガードレールに?」
植松被告「はい」
弁護人「どこを走っていたんですか」
植松被告「中央道でした」
弁護人「その後、1人でやまゆり園へ行ったのですか」
植松被告「はい」
《事件の直前、車があるにも関わらず、ヒッチハイクをしたり、タクシーを利用したりする行動を取っていた理由は何だったのか》
=(9)に続く