総務省は27日、サイバーセキュリティーに関する有識者会議を開催し、重要施設に設置されている通信設備の点検などを要請する緊急提言案を承認した。東京五輪・パラリンピックの開催を半年後に控え、サイバー攻撃への備えを強化。企業で情報漏洩(ろうえい)が相次いでいることから、官民での情報共有体制の構築も検討する。
総務省は28日に提言を発表する予定で、今後、省令改正なども視野に制度の見直しを進める。
提言では、重要インフラに設置された機器の点検・対策を要請。官民や企業間で情報を共有する仕組みを検討する。パスワードなしで開放されている公衆無線LANを利用する危険性なども周知する。
監視カメラなど多くのIoT機器では、初期設定の簡易なパスワードがそのまま使われていたり、設置されている場所が分かるような識別名が割り振られたりと、攻撃を受けやすくなっているのが現状だ。
企業に対するサイバー攻撃をめぐっては、防衛技術を手がける三菱電機は昨年6月に攻撃を受けたが、所管する経済産業省に半年間報告していなかった。
五輪など国際的な大規模イベントは、サイバー攻撃の標的となりやすく、官民を挙げての対策が急務となっている。