【ソウル=名村隆寛】韓国政府は28日、中国湖北省武漢市に滞在している韓国人の帰国に向け、30、31日にチャーター機を現地に派遣する方針を発表した。
韓国外務省によると、武漢の韓国総領事館で現地滞在の韓国人にチャーター機への搭乗希望を募ったところ、28日までに700人あまりから申し込みがあったという。チャーター機派遣での帰国をめぐって、中国政府と協議中だという。
韓国に帰国後は一定期間、臨時施設で経過観察を受ける見通し。現地滞在者の帰国で、韓国内では感染リスクへの懸念も広がっており、韓国政府で国内の防疫策を徹底していく方針だ。
また、韓国政府はマスク200万個や防護服などの医療物資を中国に支援する計画も明らかにした。
韓国の疾病管理本部によると、28日の時点で、韓国国内で新型コロナウイルスによる肺炎の感染が確認されたのは4人。15人に感染の疑いがあり、隔離し検査中だ。
韓国政府は28日、武漢から韓国へ今月14~23日に入国した3000人余り全員の調査も始めた。ただ、韓国政府の対応について、チャーター機の派遣決定が日本や米国よりも遅れたことなどに対し、韓国メディアからは批判が出ている。医療物資の支援についても同様だ。
韓国では24~27日が旧正月の4連休で、28日は休み明けの初日だった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は同日、感染患者が入院しているソウルの国立中央医療院を訪れ、マスク姿で現場を視察した。
丁世均(チョン・セギュン)首相は緊急の関係閣僚会議を開いた。韓国国内ではネットなどで、「国内で死亡者が出た」などとの偽情報が拡散しており、丁氏は「社会的混乱と不要な恐怖心をあおる」と指摘した上で、こうした流言飛語に断固対応するよう指示した。