山口県下関市の市生涯学習プラザで3日に開かれた長州「正論」懇話会の第30回講演会で、産経新聞論説委員兼政治部編集委員の阿比留瑠比氏は、安倍晋三首相が意欲を示す憲法改正について「国際情勢が厳しさを増す中、前面に立つ自衛隊の存在を明記し、日本国の意思を示す必要がある」と訴えた。同時に、改憲議論が低調であれば、安倍首相が衆議院の解散に踏み切るとの見方を示した。講演の主な内容は次の通り。
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安倍首相を20年以上取材をしてきたが、人柄は律義で優しくて、そして頑固で、執念深い。昨年の参院選後、「首相は憲法改正を諦めた」「改憲は出来っこない」などといわれている。しかし、首相はそう簡単に諦める人物ではない。手を替え品を替え、絶対にやると思っている。それは、自分でしかできないという自覚があるからだ。
自民党総裁任期の残された期間は決して長くない。その中で、首相がやり遂げたいと考えているのは、デフレ完全脱却と北方領土問題、拉致問題の解決、そして憲法改正だ。ただ、世界経済の先行きは不透明で、ロシアはプーチン大統領が憲法改正を打ち出し、どうなるか分からない。北朝鮮も、いずれ折れてくるとは思うが、いつかはわからない。4つの中で、国内で完結できるのは憲法改正だけだ。だから、今やるべきは、憲法改正だ。
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肺炎を引き起こす新型コロナウイルスが流行し、猛威を振るっている。そんな中、「首相の対応は後手に回っている」という批判がある。しかし、首相は前例のない対応をしている。それでも手ぬるく見えるのはなぜか。非常時の規定がない憲法の問題だ。