与野党は5日、令和2年度予算案採決の前提となる衆院予算委員会の地方公聴会を14日に福島、熊本両県で開催することに合意した。与党は月内の衆院通過を目指す。安倍晋三首相出席の基本的質疑は5日で終了。野党は「桜を見る会」などで政権を追及する考えだったが、党派を超えて取り組むべき肺炎を引き起こす新型コロナウイルスが大きな焦点となったほか、自らの失策もあり、与党ペースを止められずにいる。
首相は5日の予算委で「延々とこういうやり取りを大切な予算委でやらなければいけないのは大変恐縮だ」と述べた。相手は立憲民主党など野党統一会派の小川淳也氏。小川氏は桜を見る会前日に安倍事務所がホテルで行った後援者向けの夕食会をめぐり、政治資金収支報告書の不記載などを追及した。首相はホテルと参加者の間の契約だと説明。国会ではこうした堂々巡りが今も続く。
国会開会前、立民の安住淳国対委員長は「3本柱」として、「桜」、自衛隊中東派遣、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)で攻勢をかける構えだった。潮目が変わったのは、中国・武漢市から邦人がチャーター機で帰国した1月29日。参院予算委で立民の蓮舫副代表が新型肺炎ではなく「桜」の追及に終始し、野党支持者からも批判が出た。
与野党は新型肺炎対応のため、今月3日の衆院予算委から加藤勝信厚生労働相の離席を認めた。野党会派のベテランは「野党が苦しいところで助け舟を出してもらったのが実情。全部プロレスだ」と打ち明ける。その後は野党が新型肺炎の政府対応をただす場面が増えた。安住氏が4日、新聞記事に「論外」などと論評を書き添えて国会内に張り出したことへの批判も野党内から出ており、野党には後味の悪い展開となった。(田村龍彦)