川崎市は10日、令和2年度当初予算案を発表した。一般会計総額は前年度当初予算比4・4%増の7925億円となり、6年連続で過去最大規模となった。台風被害の復旧・復興や、高齢化や少子化への対応、インバウンド産業活性化に重点を置いた。同日、記者会見した福田紀彦市長は「地域の防災力の向上や、災害時の備えに取り組むなど“地域力”を高めることに力を入れた」と強調した。
歳入の中心となる市税収入は同0・1%減の3634億円。納税者数の増加によって個人市民税、家屋の新増築などにより固定資産税が増えたものの、税率引き下げと企業収益の減少によって、法人市民税が大幅に減少となり、市税全体では8年ぶりのマイナスとなった。借金に当たる市債発行額は、本庁舎建て替え事業や多摩川緑地復旧工事が進んだことなどにより、同19・6%増の654億円となった。
一方、歳出は人件費、扶助費、公債費を合わせた「義務的経費」は金額ベースで4347億円と過去最大。歳出全体に占める割合は54・9%と、11年連続で5割を超えた。特に社会保障関連の扶助費は、待機児童対策の継続的な推進による保育事業費の増加や、障害福祉サービスの給付費増などにより、年々増加。同6・7%増の2091億円に上り、当初予算全体の26・4%を占めた。また、公共施設の整備などの「投資的経費」は同17・3%増。そのうちの災害復旧費には、昨年の台風19号被害による全半壊した家屋の解体撤去費などを計上した。
事業別でみると、子育て環境整備では、待機児童対策に約775億円を計上。認可保育所の受け入れ枠を1460人増やし、395カ所で3万460人とする。地域型保育事業による受け入れ枠の拡大や保育士の処遇改善にも努める。
昨年、成立したヘイトスピーチに刑事罰を科す全国初の条例「差別のない人権尊重のまちづくり条例」に関連して、ネットリサーチの運用や市民からの相談を受ける「人権相談専門調査員」の設置などに約5千万円を計上。また、外国人市民施策として、区役所総合案内の多言語化など(約1800万円)を推進する。