【台北=矢板明夫】昭和天皇が皇太子時代の1923(大正12)年の台湾行啓(ぎょうけい)で植えられた桜や竹、ガジュマルの苗木を日本側に贈る「苗木寄贈式」が11日、台北市内のホテルで行われた。日本と台湾の政財界関係者ら約30人が出席した。
台湾で寄贈の活動を進めてきた「桜里帰りの会」の会長、黄石城・元行政院政務委員(閣僚級)が桜の苗木を手渡し、「これらの植物が日本で見事に成長し、日本と台湾の交流のシンボルになってほしい」と話した。
日本側の代表で外交評論家の加瀬英明氏は、「これを機に日本と台湾の関係をますます発展させたい」と応じた。
この日、日本側に寄贈されたのは、97年前に昭和天皇が皇太子として訪問された際、台湾の地元関係者が歓迎の印として台北に植えた桜の苗木。台湾南部の屏東(へいとう)や台南で植えられた竹とガジュマルの苗木も、近く日本側に贈られるという。
「桜里帰りの会」は昨年の天皇陛下ご即位を祝うため、台湾の政財界で知日派を中心に作られた団体で、李登輝元総統の夫人、曽文恵氏が名誉会長を務めている。
贈られた苗木は植物検閲の手続きを経て、日本各地の昭和天皇や皇室ゆかりの地に植えられる見通し。
日本側の桜里帰りの会によれば、東京、福岡、沖縄などの神社、公園など10カ所以上から、植樹の希望が寄せられているという。