新型コロナウイルスによる肺炎拡大への政府の対策には、感染の有無を迅速に判定できるウイルス検出機器の利用が盛り込まれた。これまでは検体を国立感染症研究所に運んで、さらに6時間程度、検査に要していたが、この検出機器を使えば15~30分でその場で判定できるという。政府関係者は、遅くても3月末までに利用を始められる見通しを示した。
この機器は、産業技術総合研究所の研究を引き継いだベンチャー企業を吸収合併した杏林製薬が市販している。PCR法という遺伝子解析技術を使っており、同社のホームページによると、2001年に米国で発生した炭(たん)疽(そ)菌事件を契機に始めた研究により、迅速な判定と機器の小型化を実現したという。1回につき調べられるのは基本的に1検体だが、複数の増設ユニットをつけることで、同時並行で複数検体を調べることができる。
検査試薬の開発にメドが立ったため、新型コロナウイルスにも活用できるようになるという。政府は空港や港湾に配備して、水際対策を強化するほか、地方の衛生研究所にも置いて検査体制を拡充したい考えだ。