次期衆院選に向け、衆院東京15区の動向が注目を集めている。統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件で起訴された衆院議員、秋元司被告の地盤だが、自民党を離党した秋元氏は再出馬する構えで、党が別の公認候補を立てれば保守分裂となる可能性がある。野党系候補に漁夫の利を与えかねないだけに、自民党は頭を抱えている。(広池慶一、今仲信博)
秋元氏は自民党を離れた現在も、二階俊博幹事長率いる二階派(志帥会)に特別会員として所属する。13日の二階派の会合では、前夜に秋元氏が釈放されたことが紹介され、会場は安堵の空気が流れた。
とはいえ、秋元氏の今後の政治活動の行方は不透明だ。同派幹部は「病院で治療を受けるかもしれない。当面は国会に出てこられないのではないか」と語った。
秋元氏は保釈後、ただちに国会の議員会館に立ち寄った後、都内のホテルへと向かった。二階氏や林幹雄幹事長代理ら同派幹部には「お騒がせしました」と電話で報告があったという。
秋元氏の今の立場は無所属だ。ただ、二階氏は10日の記者会見で「本人は無罪を主張している。晴れてそういうことになることを期待している」と述べ、無罪確定後の復党に含みを持たせている。
衆院東京15区では秋元氏と、無所属の柿沢未途衆院議員がしのぎを削ってきた。平成29年の前回衆院選で秋元氏は同区を制したが、柿沢氏も比例代表で復活当選している。
秋元氏の関係者は、本人が逮捕された後も精力的に地元活動を続けており、次回も立候補する構えを崩していない。対する柿沢氏も産経新聞の取材に「無所属での出馬を前提に準備をしている」と答えた。
自民党本部には「気の毒だが『秋元擁立』というわけにはいかない」(選対幹部)として、新たな公認候補の擁立論が出ており、一部には地元に根ざす都連幹部を推す声もある。
秋元氏が無所属で出馬を強行すれば自民党票は割れる。都選出の衆院議員秘書は「代わりはあの人(都連幹部)しかいないが、秋元氏が出たら共倒れだ」と頭を抱える。柿沢氏は前回、希望の党の公認候補として野党系の支援を受けたが、自民党に在籍歴のある柿沢弘治元外相の長男で、一定の保守票も持つだけに、勝敗の行方は混沌としそうだ。