米大統領選の民主党指名候補を決める予備選・党員集会が幕を切った。若手のブティジェッジ前インディアナ州サウスベンド市長の予想外の躍進など、序盤から波乱含みの展開は「中道穏健派」と「急進左派」の党内分断を色濃く示す。「トランプ大統領に勝てる」候補は誰か。大西洋を挟んだ英国のメディアは、同様に国内の分断を生んだ欧州連合(EU)離脱問題と重ね、その行方に固唾をのんでいる。
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□米国 ウォールストリート・ジャーナル
■民主党38歳の「新顔」に期待
民主党候補指名争いは初戦の中西部アイオワ州党員集会と第2戦、東部ニューハンプシャー州予備選を終えた。予想外の際立った伸びを見せたのが、38歳で最年少候補のブティジェッジ氏。人口約10万人の街を立て直した実績を訴える同氏には「経験不足」との批判がつきまとうが、政治の「アウトサイダー」としての位置づけが奏功したとの見方が広がっている。
米紙ワシントン・ポスト(電子版)は10日の記事でブティジェッジ氏について、アイオワ州では「地方部での絶大な支持により他候補をリードした」と指摘。中西部インディアナ州の出身の同氏の訴えはアイオワ州の有権者に届きやすく、「穏健派の考えを好み、政界のニューフェースを求める有権者の存在がブティジェッジ氏の人気を高めた可能性がある」と分析した。
米紙ニューヨーク・タイムズは12日付の記事で、ニューハンプシャー州ではバイデン前副大統領、ウォーレン上院議員という中道穏健派、左派の「エスタブリッシュメント(支配者階級)」が敗北し、バイデン氏の「超党派のメッセージ」を好む人は若い候補者に流れたと分析した。ただ、ブティジェッジ氏については、市長時代に黒人男性を射殺した白人警官の処遇をめぐり批判されたこともあり、白人以外の有権者を引き付けられるかは未知数として「新星」の躍進を冷静に受け止めた。