乗用車で歩道に突っ込み男性を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死)などの罪に問われた元東京地検特捜部長の弁護士、石川達紘(たつひろ)被告(80)の初公判が17日、東京地裁(三上潤裁判長)で開かれた。石川被告は「天地神明に誓ってアクセルぺダルは踏んでいません」と述べ、無罪を主張した。
争点は、事故時に車が暴走したのは石川被告のアクセルの踏み間違いか否か。石川被告は罪状認否の冒頭「亡くなられた被害者、遺族におわび申し上げる」と謝罪した。
検察側は冒頭陳述で、石川被告が知人と待ち合わせのため路上で停車中、エンジンを止めずパーキングブレーキをかけて降車しようとした際、誤って左足でアクセルを踏み込んだと指摘。事故前後の点検や検査でも車に不具合は見つからなかったと説明した。
弁護側は、停車時は運転席の位置を後方に動かしていたため、アクセルを踏むのは不可能だったと主張。暴走は「車両に何らかの不具合があったとしか考えられない」と訴えた。
起訴状によると、石川被告は平成30年2月18日、東京都渋谷区の路上で乗用車を急発進させ、約320メートルにわたり時速100キロを上回る速度で暴走。歩道上にいた男性=当時(37)=をはねて死亡させ、店舗に突っ込んだとしている。
石川被告は東京地検特捜部でロッキード事件などの捜査に携わり、平成元年に特捜部長に就任。福岡、名古屋の両高検検事長を経て13年に退官し、弁護士として活動していた。