栃木県佐野市が進めている「若者移住・定住促進事業」を利用した市内への転入者が、事業開始から4年間で400人を超えたことが、市総合戦略推進室の調べで分かった。相談件数も年々増加傾向で、着実に子育て世代などの転入増につながっている。首都圏に近く生活費が安く済むことが、増加の背景にありそうだ。
平成27年度の調査で市内の20代女性の首都圏転出が突出していることが分かり、同市は翌28年度から促進事業を開始。対象は40歳以下の単身者を除く世帯で、同市内に居住し住宅を取得した場合、1世帯10万円、子供(18歳未満)1人に10万円などの奨励金を出すことにした。30年度には移住・定住担当を新設して相談業務を一本化、現在は専属職員2人で対応する。
転入者は28年度が22件70人、29年度が23件81人、30年度が41件134人、令和元年度(今年1月末まで)が41件132人と年々増加し、4年弱で計127件417人(18歳未満は171人)。東京、神奈川などを中心に県外からの移住が4割、県内からが6割を占める。相談件数も28年度の80件から今年度は既に200件以上となった。
移住・定住理由としては、「東京に近く交通の便がいい」「生活費が安い」「住みやすそうだ」などが多いという。同市を知ったきっかけは大型商業施設「佐野プレミアムアウトレット」や名物の佐野らーめん、佐野ブランドキャラクターさのまるなどが挙がっている。
市総合戦略推進室は「事業の成果が十分出ている。制度の見直しも行い、転入者を増やしたい」としている。(川岸等)