EUが英とのFTAなど交渉方針承認 3月2日開始


 【ロンドン=板東和正】欧州連合(EU)は25日、閣僚理事会を開き、EUを離脱した英国との自由貿易協定(FTA)などの交渉方針を承認した。英側も週内に交渉方針を示し、英EUの交渉は3月2日に開始する。交渉方針では、関税や数量制限を設けないFTAを結ぶ考えを示す一方で、公正な競争条件の確保などを英国に要求した。交渉が年内にまとまらなければ、英EU間の来年以降の貿易は高関税が発生する恐れがある。

 EUは交渉で、英国が環境、労働、税制、政府補助金をめぐる規制をEUと同等の水準にし、「公正な競争条件」を保つよう求める。英国が規制を緩和・撤廃し、安い製品を輸出するようになれば、EU企業に不利になるためだ。

 しかし、英メディアによると、英国は、関税ゼロの維持を求めつつ、EUの規制に従うことを拒むとみられている。

 EUのバルニエ首席交渉官は25日、「複雑で要求が多く、非常に難しい交渉になる」と指摘した。

 英国は1月末にEUを離脱した。エリザベス女王の裁可により成立した離脱関連法案は、英EUが現状の経済関係を続ける「移行期間」の終了を12月末に設定した。このため、FTA交渉を約10カ月間でまとめられなければ、英EU間の貿易は世界貿易機関(WTO)の規則に従い、関税が発生する可能性がある。



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