イタリアの感染者300人超 周辺国にも





24日、イタリア・ミラノで、新型肺炎対策のため閉鎖された大聖堂前にマスク姿で立つ軍人(ロイター)

 【パリ=三井美奈】イタリア保健当局は25日、新型コロナウイルス感染で10人目の死者が出たと発表した。国内の感染者は320人を超えた。オーストリアやスペインなど近隣6カ国でも、イタリア滞在者に感染が相次いで確認された。

 イタリアの感染者はロンバルディア、ベネトなど北部州に集中していたが、25日の発表によると、中部トスカナ州や南部シチリア州など全国に広がった。感染経路はなぞのまま。21日、ロンバルディア州で最初に発症が発表された男性(38)は、数日前に中国から戻った知人と食事を共にしたが、この知人は感染していなかった。男性を介して、医師や家族らに感染が広がったことが分かっている。ロンバルディア州を中心に11自治体は23日から、住民の移動が原則禁止されている。

 隣国のオーストリア政府は25日、イタリア国境に近いインスブルックで2人の感染が確認されたと発表した。感染者は現地に在住するイタリア人夫妻で最近、伊ロンバルディア州の実家を訪れたという。

 ドイツでは25日、南部ゲッピンゲンで感染が確認された。患者は最近ロンバルディアの州都ミラノに滞在しており、保健当局は、滞在中に感染した可能性があるとしている。

 スイスでも25日、イタリアに近いティチーノ州で1人の感染確認が発表された。2月半ば、イタリアを訪れた際に感染したとみられている。クロアチア政府も25日、ミラノに先週まで滞在していた男性の感染が確認されたと発表した。

 スペインではカナリア諸島の一つ、テネリフェ島を訪れていたイタリア人医師と妻の感染が確認された。医師が約1週間滞在したホテルは25日に閉鎖。数百人の滞在客は隔離検査のため、館内に足止めされた。スペイン東部カタルーニャ州では25日、36歳の女性の感染が確認された。州当局によると、女性は先週までミラノなどイタリアに滞在していた。

 フランス政府は25日、新たに2人の感染を確認したと発表した。1人は伊ロンバルディア州から帰国したフランス人。もう1人は中国から2月7日に帰国した中国系女性で、仏国内の感染確認は合計14人になった。このうち11人は病状が回復し、退院したという。

 イタリアとスイスやフランスなど周辺6カ国、欧州委員会は25日、ローマで閣僚級会合を行い、感染対策を協議した。イタリア国境での移動制限も検討されたが、実施は見送られた。



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