韓国では新型コロナウイルスの感染者がここ1週間で激増しており、26日には感染者が1千人を超え1261人となった。横浜港に寄港中のクルーズ船での感染者を含めた日本の数を大きく上回っている。感染の大半は、新興宗教団体の集会が開かれた南東部の大邱(テグ)と周辺の慶尚北道(キョンサンプクト)で確認されているが、今や韓国全土に広がっている。
韓国政府は感染防止を訴え、25日には文在寅(ムン・ジェイン)大統領が直々、大邱を訪れ、地元市長や関係閣僚との特別対策会議を開き、マスク姿で危機克服を強調した。
政府や自治体は、感染の危険があるため各種集会の中止を呼び掛けている。ソウル市は先週、市中心部の光化門(クァンファムン)広場一帯での集会を禁止した。ところが、当局の指示を無視し、一部で反政権集会などが強行されている。数千人規模の集会もあり、主催者側は「屋外では感染しない」と勝手に決めつけ、制止する警察官と怒声をあげてもみ合い、暴れていた。
韓国ではありがちなことだが、状況が状況だけに一般市民からは当然、ひんしゅくを買っている。一方で、感染をめぐって文氏や与党からの問題発言もあり、感染拡大とともに韓国政府の対応への批判も強まる一方だ。文在寅政権は感染拡大に加え、言うことを聞いてくれない市民にも頭を悩ませている。 (名村隆寛)