新型コロナウイルスの感染拡大を受け、茨城県内でも影響が出始めている。県は職員を対象にしたテレワークの一斉体験が始まり、27日、限られた職員が勤務する部署も見られた。例年、国内外から50万人以上の観光客が集まる「水戸の梅まつり」は3月29日までの期間中、実行委員会が企画した全イベントが中止となった。感染拡大の防止に向けた取り組みが広がりつつある。
茨城県は2月26日、県庁で勤務する知事部局の職員約2000人を対象に時間や場所を決めずに働くテレワーク(在宅勤務、モバイルワーク)の体験を始めた。3月6日までの期間中に全員1回は実施する予定。私物や貸し出し用のパソコンを利用し、県庁の端末を遠隔操作して業務ができる。メールや業務のファイルデータは県庁の端末に保存されるため、テレワークに伴う情報流出の危険性は低いという。
普段から研究所やベンチャー企業などICT(情報通信技術)活用が盛んな相手と仕事をしている県科学技術振興課では、2月27日時点で課員25人のうち7人がテレワークに臨み、県庁内の職場では空席が目立っていた。同課の担当者は「課員全員で情報共有ができるビジネスチャットのような連絡ツールが充実していれば、業務の支障はまったくない」とテレワークの意義を実感していた。
ただ、テレワークを主導する県行政経営課には「遠隔操作のやり方がわからない」といった技術的な問い合わせも少なくないといい、今後の推進に向けた課題も浮き彫りとなっている。
一方、ウイルスの影響は県内随一の大規模イベントにも広がりを見せている。水戸市の偕楽園で開催中の「水戸の梅まつり」では、実行委が、期間中に予定されていた全イベントの中止を発表した。「歴代水戸の梅むすめ・梅大使の集い」(29日)のほか、全国の梅酒を飲み比べる「全国梅酒まつりin水戸」(3月6~8日)、「水戸納豆早食い世界大会」(21日)などが中止となった。
担当者は「残念だが、感染拡大を防ぐことが重要。梅の花は咲きそろい始めているので楽しんでほしい」と話している。
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一方、茨城県議会の第1回定例会が2月27日開会し、大井川和彦知事は総額1兆1632億円と過去最大規模の令和2年度の当初予算案など51議案を提出した。
この日の県議会では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて知事がマスクを付けたまま提出議案の説明を行ったほか、議会棟の正面玄関や傍聴席の受け付けなど計3カ所に消毒液が用意された。(永井大輔)