【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領が11月の大統領選での再選の可能性を広げるため、黒人有権者の支持拡大に本腰を入れ始めた。民主党の伝統的な支持基盤である黒人層が大挙してトランプ氏に乗り換える公算は小さいものの、激戦州ではわずかな票の動きが選挙結果を左右するだけに、民主党から少しでも多くの黒人票を切り崩したい考えだ。
トランプ氏は27日、米国での黒人の偉人の業績を振り返る恒例の「黒人歴史月間」(2月1日~29日)の祝賀会をホワイトハウスで開催。同氏は「米国の歴史を通じ、黒人は平等と正義、自由のために戦ってきた」と称賛した上で「黒人の失業率は過去最低になった。黒人の給与も年間で2400ドルも上昇した」と政権の実績を強調した。
トランプ氏は黒人向けの高等教育機関「歴史的黒人大学」に補助金を支給する法律に署名したほか、軽微な麻薬犯罪の服役囚を減刑・釈放する刑事司法制度改革に取り組むなど、黒人層を意識した政策を相次ぎ進めてきた。
2016年の前回大統領選でトランプ氏の黒人の得票率は8%にとどまった。しかし、左派系の黒人政治団体「黒人の政治行動委員会(PAC)」が今月発表した世論調査では、黒人の12%が「トランプ氏に投票する」と回答した。トランプ陣営のパースケール選対本部長も26日、記者団に「黒人の支持率は前回選挙に比べ倍増した」と述べるなど、黒人層取り込みへの自信を強調した。