政府は東京電力福島第1原発事故の影響で福島県双葉町に出されていた避難指示の一部を4日午前0時に解除した。第1原発が立地する同町では、避難指示が出された同県内の11市町村で唯一、全町避難が続いていた。
事故から9年を前にようやく復興への一歩を踏み出した形だが、対象区域はJR常磐線双葉駅周辺などの「特定復興再生拠点区域」と、沿岸部の「避難指示解除準備区域」の計約2・4キロ平方メートルで、町全体のわずか4・6%に過ぎない。
双葉町では7日に常磐自動車道常磐双葉インターチェンジが開通。14日には常磐線富岡-浪江間(約20・8キロ)で9年ぶりに運行再開し全線復旧する。これに先立ち、5日に大熊町の大野駅周辺、10日には富岡町の夜ノ森駅周辺の避難指示も解除される。
生活インフラの整備が間に合わないため、双葉町は住民の帰還について令和4年春を目標としている。ただ、町が昨年、住民3057世帯を対象に実施した調査では、回答した1399世帯のうち「戻りたい」は10・5%。「戻らないと決めている」が63・8%に上っている。