公職選挙法違反(運動員買収)の疑いで自民党の河井克行前法相と妻の案里参院議員の秘書らが逮捕された事件をめぐっては、与党からも両氏の説明責任を求める声が相次いでいる。ただ、両氏は「捜査中」を理由に事実関係についてはコメントを控える談話を発表しただけで、政府・与党は野党の攻勢に防戦を強いられることになりそうだ。
安倍晋三首相(自民党総裁)は3日の参院予算委員会で、共産党の小池晃書記局長から党首としての責任を問われると、「わが党の議員の秘書が逮捕されたのは大変残念」「一人一人の政治家が自ら襟を正して説明責任を果たすべきだ」と守勢に立たされた。
野党は引き続きこの問題を追及する構えで、自民党の森山裕国対委員長は同日、記者団を前に事件について「極めて遺憾だ。政治家は説明責任を背負っており、適時適切に対応してほしい」といらだちをあらわにした。
仮に2人が不祥事の責任を取って議員辞職を決断した場合、その時期が今月15日以前か、16日以降かで補選の日程が変わる。
総務省選挙課によると、15日までに辞めれば、自民党の望月義夫元環境相の死去に伴う衆院静岡4区補選(4月26日投開票)と同じ日程で河井夫妻の欠員を補うための衆参同日選が行われる。16日以降に辞職した場合は、10月25日の実施が見込まれる。
自民党の世耕弘成参院幹事長は3日の記者会見で、同日朝に案里氏から「いろいろ迷惑をおかけする」との内容の電話があったことを明らかにした。
ただ、与党内には夫妻が自ら身を引く可能性は低いとの見方があり、自民党幹部は「秘書らの判決が確定するまで辞めるわけがない。野党は国会で騒ぐだろう」と頭を抱えている。(内藤慎二)