与野党協調で批判を抑制 緊急事態宣言 国民に制約





与野党党首会談に臨む(左から)国民民主党・平野博文幹事長、玉木雄一郎代表、安倍晋三首相、公明党・山口那津男代表、自民党・二階俊博幹事長、公明党・斉藤鉄夫幹事長=4日午後、国会内(春名中撮影)
その他の写真を見る(1/2枚)

 肺炎を引き起こす新型コロナウイルス対策をめぐり、安倍晋三首相が野党に党首会談を呼び掛けたのは、国難ともいえる状況に政府・与野党が一丸となって取り組むことをアピールする狙いがある。首相には、国民への「強制力」を伴う法整備に野党を関与させることで、野党からの批判を抑制しつつ世論の反発を分散させたいとの思惑も透ける。平成23年3月の東日本大震災で、自民党は当時の民主党政権に全面協力しており、頭を下げることに抵抗はなかったようだ。

 「コロナウイルスを対象として加える法改正を行いたい。委員の見識も生かさせていただきたい」

 首相は党首会談の直前に行われた4日の参院予算委員会でこう述べ、質問に立った国民民主党の森裕子参院議員に協力を求めた。

 政府が改正を目指す新型インフルエンザ等対策特別措置法は民主党政権下の24年に成立しており、同党を源流とする立憲民主、国民民主両党も「反対しにくい」(政府高官)との計算も働いた。自民党幹部は「野党は協力要請を断りづらいだろうが、今回の対策はどちらが上か下かを競う性格のものではない」と話した。

 同法に基づく「緊急事態宣言」は施設の使用制限など、国民生活の制約を可能とし、経済活動に与える影響も大きい。ある野党幹部は、首相からの協力要請について、批判を分散させるための「アリバイ作りだ」と冷ややかに語る。

 野党に全面協力を求めることに安倍政権が躊躇(ちゅうちょ)する必要はなかった。東日本大震災が発生した際、直前まで外国人からの違法献金問題を追及されていた菅直人首相(当時)は野党に「救国」のための協力を要請。自民党の谷垣禎一総裁(同)は「協力を惜しむつもりはない」と全面協力を表明し、与野党による各党政府震災対策合同会議の設置にも応じていたからだ。

 谷垣氏に近い中谷元・元防衛相は「大震災の時の自民党は野党とはいえ、国のために尽くすことを強く意識していた。今回の国難も与野党一丸で乗り越えるべきだ」と話す。(内藤慎二、沢田大典)



Source link