積水ハウスは5日、和田勇前会長が土地取引に絡む詐欺被害の責任を問うとして経営陣の一新を求める株主提案をすると通告していたことに対し、同日の取締役会で反対を決議したと発表した。和田氏と共に株主提案を行った勝呂文康取締役が4月に退任することも明らかにした。
和田氏が自身を含む11人を取締役として選任するよう求めていることについて、積水ハウスの稲垣士郎副会長は5日に大阪市内で開いた決算会見で「株主から提案された取締役候補者らは不動産業の知見もなく、企業価値向上につながらない」などと主張。提案には多くの事実誤認があるとも指摘した。
取締役会では、株主総会が開催される4月23日付で勝呂氏が取締役を退任することも決めた。同社は「株主提案以前から退任は決まっていた」としている。取締役会には勝呂氏も参加していた。
和田前会長は、積水ハウスが約55億円をだまし取られた東京都内の不動産取引をめぐる地面師事件への経営責任をめぐり、当時社長だった阿部俊則会長と対立し、辞任に追い込まれた経緯がある。