シリア停戦 トルコの「天秤外交」裏目に

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5日、ロシア・モスクワで共同記者会見に臨み、握手を交わすプーチン大統領(右)とトルコのエルドアン大統領(AP)

5日、ロシア・モスクワで共同記者会見に臨み、握手を交わすプーチン大統領(右)とトルコのエルドアン大統領(AP)

 ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は5日の首脳会談で、停戦の一環としてシリア北西部イドリブ県を東西に貫くM4高速道路で共同パトロールを始めることで合意した。トルコはシリアのアサド政権を支援するロシアを停戦に関与させ、イドリブに駐留するトルコ軍への政権軍の攻撃を抑止する狙いだ。

 ただ、トルコが求めていたイドリブ周辺からのアサド政権軍の撤退は合意に盛り込まれなかったもようだ。トルコは2018年、シリアからの難民流入の原因となった戦闘の停止を名目にイドリブに進駐することでロシアと合意したが、「真の狙いはイドリブの実効支配だ」(在トルコの記者)との見方も根強い。

 一方、M4はロシア軍の基地がある地中海沿岸の北西部ラタキアに延びており、ロシアにすれば影響力の拡大につながる。M4の南側では政権側が支配を進めており、事実上の停戦ラインとなれば、トルコ軍の支配地域が狭まることになる。合意はトルコ側に、より厳しい内容となった。

 トルコは先月末、アサド政権軍の攻撃によってイドリブで軍兵士33人が死亡したのを受け、国内にいる難民を欧州に越境させる意向を表明した。難民問題で圧力をかけ、欧州にイドリブの停戦を後押しさせる狙いとも指摘された。しかし、隣国ギリシャとの国境周辺には難民が殺到、ギリシャ治安部隊が催涙弾を発射して入国を阻止する事態となった。

 人道支援団体からは「人間が政治の武器として扱われている」といった批判も出ており、トルコと欧州の関係は冷え込みそうだ。また、米国はイドリブの衝突激化を受けてトルコに支援を申し出たものの、積極的に動く様子はみえない。

 トルコは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国にもかかわらず、昨夏にはロシアから防空システム「S400」の導入を開始し、欧米の加盟国から非難が相次いだ。欧米やロシアを天秤(てんびん)にかけて利益を引き出そうとするエルドアン氏の外交は、かえって孤立を深める結果を招いているのが実態だ。(カイロ 佐藤貴生)

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