【シンガポール=森浩】アフガニスタンの首都カブールで9日、大統領選(昨年9月投票)で再選されたガニ大統領の就任宣誓式が行われた。第1期ガニ政権でナンバー2の行政長官を務め、選挙結果に反発するアブドラ氏も独自の宣誓式を実施。2つの政権が並立しかねない事態といえ、政府とイスラム原理主義勢力タリバンの協議にも影響を及ぼしそうだ。
大統領選の結果は2月18日に公表されたが、次点だったアブドラ氏は「開票に不正があった」と反発。独自の政権樹立を表明していた。政府内の対立を憂慮した米国のハリルザド・アフガン和平担当特別代表が両者の調整に当たったが、不調に終わったもようだ。
ハリルザド氏や国連アフガン支援団の山本忠通代表らはガニ氏の宣誓式に参加しており、ガニ氏を支持する姿勢を打ち出した。カルザイ前大統領ら一部の政治家はどちらの式典にも参加しなかった。
29日に合意された米国とタリバンの和平では、政府とタリバンの双方が捕虜を解放し、停戦に向けた協議を3月10日に始めることが盛り込まれた。だが、ガニ氏はタリバン捕虜5千人の解放に消極的で、解放が協議の前提とするタリバンとの間で溝が深まっている。
タリバンとの協議について、政府は代表団の選出に難航しており、実施を危ぶむ声も出ている。ガニ氏は9日の演説で、「10日までに和平の交渉チームを決める」と話し、交渉の進展に意欲を見せた。