中国、新型コロナでも台湾へ軍事圧力





19日、台北市内の立法院外交・国防委員会で、答弁する厳徳発国防部長(田中靖人撮影)

 【台北=田中靖人】中国の人民解放軍が新型コロナウイルスの感染拡大後も台湾周辺での軍事行動を続け、台湾の国防部(国防省に相当)が警戒を強めている。厳徳発(げん・とくはつ)国防部長(国防相)は19日、立法院(国会)の審議で、2~3月の状況は以前と異なり、「脅威が増大している」との認識を示した。

 国防部の発表や台湾メディアの報道によると、中国の空警(KJ)500早期警戒管制機と殲(J)11戦闘機などの編隊が16日午後7時、台湾南西沖で夜間訓練を実施。台湾海峡の中間線に接近したため、台湾空軍の戦闘機が無線で警告した。空軍は増援のため、戦闘機を緊急発進させた。中国軍機の台湾周辺での夜間訓練は異例だ。

 2月には、9日にJ11と轟(H)6爆撃機などが台湾南部のバシー海峡を通過し、4機のH6が北上し宮古海峡を通過。同10日にはH6がバシー海峡を通過して西太平洋に進出した際、護衛機が台湾海峡の中間線を越えた。同28日にもH6がバシー海峡を往復し、台湾の防空識別圏(ADIZ)に一時、進入したとの報道もある。

 中国空軍は昨年後半、台湾周辺での活動を控えていた。今年1月の総統選を前に台湾世論の反発を避けるためとみられる。2月以降の動向について、中正大学の林穎佑(りん・えいゆう)准教授は「軍内で武漢肺炎の感染が確認され民衆に能力を疑われているため、国内向けに攻撃能力を誇示する狙いもある」と分析している。



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