度重なるSOS見逃し 罪深い大人の不作為、千葉女児虐待死

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栗原勇一郎被告の判決公判の傍聴券を求めて列を作る人たち=19日、千葉地裁前(永田岳彦撮影)

栗原勇一郎被告の判決公判の傍聴券を求めて列を作る人たち=19日、千葉地裁前(永田岳彦撮影)

 千葉県野田市の自宅で昨年1月、小学4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=を虐待して死亡させたとして、傷害致死罪などに問われた父親の勇一郎被告(42)に対し、千葉地裁は19日、懲役16年という異例の重い量刑を言い渡した。長期間にわたって凄惨(せいさん)な虐待を繰り返した被告が極めて悪質なのは言うまでもないが、公判で改めて浮かび上がったのは、周囲の「不作為」の罪深さだった。

 なぜ幼い命を救えなかったのか。わずか10歳で亡くなった心愛さんは、多くの「SOS」を周囲に発していた。

 平成29年11月には、小学校のアンケートに「お父さんにぼう力を受けています。先生、どうにかできませんか」と書いた。一時保護された児童相談所の職員や一時同居していた父方の祖母や叔母にも父親からの虐待を訴えた。公判で重要な証拠の一つとなった被告が撮影した動画にも「助けてママ、お願い」と泣く心愛さんが写っていた。

 最悪の結果を招く前に、児相などがもっと強く介入し、心愛さんと被告を長期的に引き離す手だてはあったはずだ。しかし、必死の訴えはことごとく見過ごされた。それどころか、教育委員会が小学校のアンケートのコピーを被告本人に渡すという、あり得ない事態すら起きた。

 被告の虐待を最も間近で見ていた母親(33)==傷害幇助(ほうじょ)罪で執行猶予付き有罪判決確定=も、心愛さんが死亡する約3週間前に虐待行為を制止したことはあったが、被告に暴力を振るわれたこともあり、結果的にわが子を「見殺し」にした。

 「しつけ」と称して心愛さんを追い込み、殺人に等しい形でわが子を死なせた被告の責任は、限りなく重い。だが、被告の暴走を制止できず、再三にわたって心愛さんの命を救う機会を逃し続けた「大人たち」の責任も、また重い。

 後を絶たない子供の虐待死を二度と引き起こさないため、今度こそ社会全体が事件を教訓にして真剣に考え、対策を講じなければ心愛さんが浮かばれない。(橘川玲奈)

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