ゴーン被告逃亡、無責任の連鎖 弁護団の誓約書、地裁「うのみ」



公判前整理手続きのため、東京地裁に入るカルロス・ゴーン被告。右は弘中惇一郎弁護士=令和元年6月24日午前、東京都千代田区(萩原悠久人撮影)

 レバノンに逃亡した日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(66)=会社法違反などの罪で起訴=の保釈請求の際、弁護側が「ゴーン被告を指導監督する」とした誓約書を東京地裁に提出していたことが28日、関係者への取材で分かった。ところが弁護側は逃亡後、「毎日監視する責任はない」「出入国管理当局の責任」と主張。捜査への協力も事実上拒む。逃亡から29日で3カ月。法曹界からは誓約書を「うのみ」にして保釈を認めた地裁を含め「あまりに無責任」と批判する声が上がっている。(山本浩輔、宮野佳幸、吉原実)

 ■「入管の責任」

 「それは入管の責任でしょうね。入管がもっとちゃんとすれば(ゴーン被告は)逃げなかったと思う」

 ゴーン被告の弁護人だった弘中惇一郎弁護士は今年1月31日、ゴーン被告が逃亡したことについて、出入国管理当局に責任があるとの認識を示した。

 ゴーン被告が最初に保釈されたのは、1年余り前の昨年3月6日。検察側は「証拠隠滅の恐れがある」として強く反対したが、弘中氏ら弁護団が、住居への監視カメラ設置や、パソコンは弘中氏の事務所内でのみ使用といった条件を地裁に提案。日本の刑事司法制度を「人質司法」と批判する国際世論にも押される形で地裁は保釈を認めた。

 関係者によると、この際、弘中氏らは地裁に対し、「ゴーン被告が保釈条件を順守するよう指導監督する」という趣旨の誓約書を提出していたという。

 昨年4月、4度目の逮捕、起訴後に2度目の保釈が認められた際も、弘中氏らは同じ内容の誓約書を提出。このときは検察側が、妻のキャロル・ナハス容疑者(53)=偽証容疑で逮捕状=による具体的な証拠隠滅行為を地裁に示し、地裁も保釈決定書で「証拠隠滅を図ると疑う相当な理由がある」と認めた。

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