安倍晋三首相28日、首相官邸で開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部会合で、感染拡大に対処するための緊急経済対策の今後10日程度での取りまとめや令和2年度補正予算案の編成を関係閣僚に指示した。会合では国内で感染者数が爆発的に急増した場合に備えた「基本的対処方針」も決定した。
首相は「今は感染拡大の重症化防止が最優先だが、その後は日本経済を確かな成長軌道に回復させていく」と強調。その上で「甚大な影響のマグニチュードに見合うだけの強大な経済政策を打たなければならない」と述べた。
緊急経済対策は、(1)感染拡大防止策の充実や治療薬の開発(2)雇用の維持と事業の継続(3)官民を挙げた経済活動の回復(4)強靱(きょうじん)な経済構造の構築(5)今後の感染状況への備え-の5本柱から編成した。
雇用対策では、中小事業者向けに新しい給付金制度を創設。感染拡大を受けた休業などで生活が困窮する世帯には生活維持のための資金を交付する。
経済の回復に向けては、東京五輪・パラリンピックの1年程度の延期によって打撃を受けている観光やエンターテインメント業界などに官民を挙げた支援策を講じる。オーバーシュート(爆発的患者急増)など感染の今後の展開に備えた予備費の創設にも取り組む。