「裁判所に自白は信用できないと認めてもらい、真っ白な判決を求めたい」。31日に大津地裁で判決が言い渡される滋賀・呼吸器外しの事件の再審を控えた23日、滋賀県内で記者会見に臨んだ西山美香さん(40)はこう語った。
これまでの公判によると、当初は事件について「分からない」などとしていた西山さんだったが、捜査員の脅しともとれる調べもあり、供述を二転三転させた。
中でも影響を与えたのが、好意を寄せるようになった刑事の存在だ。捜査側に有利な供述に転じた途端、急に優しくなった刑事。「真剣に話を聞いてくれてうれしい」。刑事との関係が壊れないよう、「事件の動機は病院への不満」「事故に見せかけた」などの嘘もいとわなくなった。調べのたびに留置場から出してくれる「白馬の王子様」にも見えたという。
弁護団は、こうした関係が虚偽の自白を生んだ素地とみている。
「警察は(迎合しやすい)私の弱みを知って追及し、言葉巧みに自白を導き出した」と西山さん。「しつこく追及されると心が折れる。本当にしんどかった」と言葉を詰まらせるとともに、「もう誰も同じ目にあってほしくない」と求めた。
会見には娘を支えてきた家族も同席。母親の令子さん(69)は「人生を取り戻してほしい」と涙を拭い、父親の輝男さん(78)は「今まで苦労をしてきたので喜んでいる」と話した。
井戸謙一弁護団長は「人間はいろんな理由で嘘の自白をしてしまう。判決がこうした問題に踏み込み、司法が抱える問題が良い方向に進むことになれば」と述べた。