【パリ=三井美奈】新型コロナウイルス感染が広がる欧州各国が、検査能力の増強に乗り出した。ドイツは週50万件のペースで検査を開始。フランスは28日、検査方針を見直し、1日あたりの検査態勢を10倍以上に増やすと発表した。
■フランス 血清検査も
ベラン仏保健相は28日の記者会見で、PCR検査を4月末までに、「1日当たり5万件にする」と発表した。3月半ばまで1日当たり検査能力は5千件だったが、世界保健機関(WHO)が16日に「あらゆる(感染)疑い例を検査すべき」の方針を示したのを受けて見直した。
検査はこれまで、肺炎や高熱などの症状が出た人や医療関係者らを対象としてきたが、今後は施設入居の高齢者らに枠を広げる構え。国内で、高齢者施設での集団感染が相次いで発覚したためとみられる。
また、ベラン氏はPCRのほか、(1)迅速検査キット(2)血清検査-でも態勢を強化すると述べた。数時間を要するPCR検査と異なり、迅速検査は約30分で判定が可能で、6月までに「1日10万件」の検査を可能にするとした。
血清検査は、外出禁止令の解除時に備えるもの。ウイルス免疫の有無を調べ、感染再発を防ぐ狙いがある。政府は4月中に、血清検査用の器具200万個を調達する計画だ。
■ドイツ 韓国モデル
ドイツは感染者の致死率が0・5%で、イタリアの約20分の1。ベルリンにあるシャリテ・ウイルス学研究所のドロステン教授は26日の記者会見で、「大規模検査」が低致死率につながったと述べ、1週あたり16万件だった国内の検査態勢が50万件に増強されたと明かした。大規模検査で、症状が軽度なうちに隔離を進められた、という分析だ。