【シネマプレビュー】「在りし日の歌」





「在りし日の歌」の一場面 (c)Dongchun Films Production

 改革開放後の中国の現代史をひもとくと、“一人っ子政策”を推し進めた1980年代、目覚ましい経済成長を遂げた90年代、そして都市部に住む裕福な層と地方に暮らす貧しい層との格差が著しくなった2010年代。

 こうした激動の時代背景を織り交ぜながら、一人息子を事故で亡くした夫婦の人生の機微や仲間の友情を丹念に描いた作品。家族、親子の在り方はそれぞれの国や文化によって違い複雑でもあるが、それと同時に普遍的なテーマであることを改めて考えさせられた。

 本作の中国語原題は「地久天長」。日本では「蛍の光」として知られるスコットランド民謡で、劇中でも「友情は天地の如(ごと)く長久(とわ)に変わらず、古き友よ…」と歌う場面が登場する。

 本作は、ベルリン国際映画祭最優秀男優賞・女優賞(銀熊賞)をダブル受賞。監督は王小帥(53)で、現指導部体制(第5世代)の次の指導部体制(第6世代)を代表する人物として知られる。王監督の作品が、銀熊賞に輝くのは本作で3度目。3日から東京・角川シネマ有楽町、24日から大阪・シネ・リーブル梅田などで全国順次公開。3時間5分。(啓)

★★★★

 (★5傑作 4見応え十分 3楽しめる 2惜しい 1がっかり ☆は半分)



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