タレントの加藤綾菜さんは、夫であるタレントの加藤茶さんの健康問題に直面し、介護と食事療法の道を歩み始めました。結婚数年後、加藤茶さんが寝室で突然けいれんを起こし、緊急搬送された病院でパーキンソン症候群と診断されたのです。腎臓の状態も思わしくなく、医師からは厳しい食事制限が指示されました。愛する夫のため、加藤綾菜さんは介護と病状に合わせた食事について深く学ぶことを決意しました。
加藤綾菜さんと夫の加藤茶さん、愛犬と共に自宅でくつろぐ様子
病の発覚と過酷な食事制限への挑戦
加藤茶さんの体調が悪化したのは、結婚して2、3年が経過した頃でした。ある日、仕事の前日に40度の高熱を出したものの、「疲労」と診断され、本人の強い意志で仕事に向かいました。帰宅後、様子がおかしいことに気づいた加藤綾菜さんが病院を促すと、加藤茶さんは横になり、その後、寝室でけいれんを起こしました。すぐに救急外来へ運ばれた結果、パーキンソン症候群と診断され、「筋肉が衰え、自力での食事が難しくなるだろう」と告げられました。以前から箸を持ちにくそうにしたり、手が震えたりする様子は見られましたが、加藤茶さん本人は「年のせい」としか話していませんでした。
診断に加え、長年の偏った食生活が原因で腎臓の状態も悪化しており、1日に塩分6グラム未満という厳しい食事制限が必要になりました。加藤茶さんはトマト以外の野菜や魚が苦手で、揚げ物や肉類中心の食生活を送っていました。当初、綾菜さんは塩分を単純に抜いた食事を提供しましたが、加藤茶さんは食欲を失い、みるみる痩せてしまいました。夜中に隠れてコンビニのカップ麺や菓子パンを食べる姿を見て、この方法ではいけないと痛感したのです。
減塩料理の探求と「万能氷だし」の誕生
夫の健康を取り戻すため、加藤綾菜さんは大学病院の調理師に師事するなど、食事療法を一から学び始めました。減塩食でも美味しく食べてもらうための探求が始まりましたが、ただ出汁を効かせただけでは加藤茶さんが病院食を連想して嫌がるなど、試行錯誤の連続でした。ニンニク、ショウガ、様々なハーブを試しましたが、どうしても味にパンチが足りませんでした。
悩んでいたある日、加藤茶さんが酒粕が非常に好きだったことを思い出しました。「塩分がないし、出汁に加えたらどうだろう」と思いつき、試してみたところ、料理に深いコクが生まれたのです。この酒粕を加えた出汁を凍らせておく「万能氷だし」が完成しました。この氷だしを使うことで、煮物や煮魚といった和食も減塩でありながら美味しく作れるようになりました。この万能氷だしにたどり着くまでには、減塩食に取り組み始めてから3~4年もの年月がかかりました。
健康状態の改善と広がる反響
「万能氷だし」を取り入れた減塩食を続けた結果、加藤茶さんの健康状態は劇的に改善しました。「あと数ヶ月で透析になる」と言われるほど悪かった腎臓の機能を示す数値が改善し、以前は薬を飲んでも200mmHg近くあった血圧も、現在では120mmHg程度にまで安定しました。
加藤綾菜さんは、自身のYouTubeチャンネルで日常生活やこの減塩レシピを紹介したり、レシピ本を出版したりしています。これらの発信に対し、世の中にこれほど多くの腎臓病や高血圧で減塩が必要な人々がいるのかと驚くほどの反響があったといいます。感謝の葉書やメールが多数寄せられ、彼女の経験とレシピが多くの人々の役に立っていることを実感しています。
加藤綾菜さんの、夫・加藤茶さんの健康を守るための献身的な取り組みは、多くの困難を乗り越えて実を結びました。「万能氷だし」をはじめとする創意工夫された減塩レシピは、加藤茶さんの健康状態を大きく改善させただけでなく、同じように食事制限に悩む多くの人々にとって希望の光となっています。