経団連の中西宏明会長は6日の定例会見で、政府が7日にも新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた緊急事態宣言を出す見通しであることについて、「マーケット全体が冷え込んでいる。経済活動がかなり危険な状態になる可能性もある」との認識を示した。また経済対策の早期の具体化を求めると同時に、経団連として経済対策の提案を取りまとめるための会議体を新設したことも明らかにした。
政府が打ち出す緊急経済対策については、「短期的には、客が来ることができなくなり、倒産の危機がある客商売への緊急対策を求めたい。次にこの状況が長く続いたときの対策が必要になる」とした。さらに中長期的には、「テレワークの推進など(デジタル技術による業務革新の)デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める」ことの重要性を強調した。
中西氏はこのうち短期的な緊急対策について、「思いきった手を打たなくてはならない」と語る指摘。「国の苦しい財政状況をごちゃごちゃ言っている状況ではない」と、倒産防止や雇用確保などを最優先すべきとの考えを示した。
こうした中、経団連は経済対策への提案、提言を強化するため、「新型コロナウイルス会議」を発足させた。中西氏が議長となり、副会長や審議委員会の正副議長などとともに、政府に対する経済対策などの提案を取りまとめる。すでに各社へのヒアリングを開始しており、5月上旬にも第1回目の取りまとめを行う。
さらに、新型コロナで混乱する採用活動について、会員各社に弾力的な対応を促す文書を改めて出し、「第2の就職氷河期を作らないような対応」を求めた。