北欧、ソフトな制限措置 スウェーデンは小中OK






 【ロンドン=板東和正】新型コロナウイルスの感染拡大防止策として都市封鎖(ロックダウン)導入が相次ぐ欧州で、北欧スウェーデンが緩やかな制限措置にとどめる“ソフト路線”を堅持し、注目されている。国民の自主性を重んじていることなどが背景にあるが、ここにきて感染者数の増加が目立ち、方針転換を迫られる可能性がある。

 欧州では英仏やイタリアが外出を原則禁じるなどするが、スウェーデンは他人との距離の確保や自宅勤務を勧告する一方、カフェやレストランの営業を容認。学校の閉鎖要請も高校や大学に限定し、中学以下や幼稚園は対象外で、禁止されるイベントも50人超が集まる場合としている。

 スウェーデンが厳しい措置を見送る背景には、国民の自主性を歴史的に重視する土壌があるともいわれる。そのため政府は強制力を行使するのではなく、国民に責任ある行動を期待。リンデ外相は「全ての人々が自分や隣人、地域社会の福利に対して責任を負っている」と呼びかけた。

 同時にスウェーデンは人口の一定割合がウイルスへの免疫を獲得することで感染を抑制する「集団免疫」の手法をとる。同様の対応を掲げた英国などは医療現場に負担を与えるリスクを考慮して断念したが、人口規模が小さいスウェーデンは比較的少ない感染者数で集団免疫が理論上、獲得できるともみられている。

 世界保健機関(WHO)の9日の集計では、スウェーデンの感染者数は約8400人で、都市封鎖を導入したイタリアやスペインなどを大きく下回る。だが、4月に入り、新型コロナの死者数が1日で20%近く増えたことを受け、感染拡大への不安が高まった。

 英メディアによると、スウェーデンでは一段と強力な封じ込め策を望む声も上がり、政府に厳しい制限措置などを求める誓願には医師や科学者ら2千人以上が署名した。

 ウイルス検査がドイツなどに比べて遅く、自覚症状のない感染者が増えているとの懸念もある。ストックホルム大のブリトン教授は「国内で100万人が感染している可能性がある」との見方を示す。

 ロイター通信によると、政府もこの状況を受け、交通機関やレストランの閉鎖などの制限措置を、議会の事前承認なしに行えるようにする法案を議会に近く提出する方針。ロウィン副首相は「必要な場合、さらなる手段をもって迅速に行動できる」と法案の狙いを強調した。



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