【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮メディアは13日、平壌で12日に国会に当たる最高人民会議が開かれたと報じた。李善権(リ・ソングォン)外相が国務委員に選出されるなど、国家の最高指導機関である国務委員会のメンバーが大幅に入れ替わった。当初、10日に開くとしていた会議の日程が変更された理由には触れられなかった。新型コロナウイルスの感染拡大が何らかの影響を与えた可能性もある。
国務委員には、他にいずれも朝鮮労働党副委員長で軍需担当の李炳哲(ビョンチョル)氏や国際部門を担う金衡俊(キム・ヒョンジュン)氏ら4人が選ばれた一方、国際担当党副委員長だった李洙●(=土へんに庸)(スヨン)氏や李容浩(ヨンホ)前外相、努光鉄(ノ・グァンチョル)前人民武力相ら5人が解任された。北朝鮮の非核化などをめぐる米朝交渉が行き詰まる中、外交ラインの刷新を印象づけた。
新年度予算では、新型コロナの世界的な感染拡大で北朝鮮が非常防疫態勢を続ける中、保健部門の予算が7・4%増額。国家防衛力の強化も打ち出され、国防費には前年より微増の15・9%が振り分けられた。
代議員ではない金正恩(キム・ジョンウン)党委員長は出席しなかった。ただ、11日には、最高人民会議に提出する議案をまとめる党政治局会議に出席。新型コロナに対処する「国家的対策」の強化を決めた。最高人民会議では、新型コロナについて全国規模で医学的監視と隔離事業を徹底し、「わが国で1人の感染者も発生しないようにした」と報告されたが、北朝鮮でも多くの感染者が出ているとみられている。