新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言を受け、出勤する人数を減らして職場や通勤時の密集を避けるなどの「働き方改革」が、大阪府内の市町村でも進んでいる。感染拡大防止の前線指揮をとるべき市役所などが集団感染の場になるという“最悪の事態”を未然に防ぐのが狙い。今回は感染が収束するまでの一時的な措置だが、将来的なテレワーク拡大に向けたテストケースとも言えそうだ。
東大阪市は14日、非正規を含む庁内全職員4169人を2班に分け、交互に出勤することで職場の人数を半減させる体制をスタートさせた。原則として部署ごとに分割し、出勤しない日は在宅勤務とする。
市人事課の担当者は「市職員の集団感染により市民サービスの継続が困難になってしまう“最悪の状況”に陥ったとしても最低限の業務が継続できる体制を考えた」と説明する。
ただし、在宅勤務については、個人情報が入ったノートパソコンの持ち出しは禁止。自宅などから庁内の情報システムにインターネット経由で接続することもできないことから、一般的なテレワークはできない。
そのため、市人事課は在宅勤務の内容について「業務マニュアルの改善を考えたり、e(イー)ラーニングで地方自治法などの法律を学んでもらったりする」と想定。直接的な事務処理ではなく、将来的な効率化や職員自身のスキルアップなどを期待している。
堺市も15日から、市役所などに出勤する職員を通常比で半減させる。すでに2割を削減しているが、危機管理や医療、消防など削減が難しい部署を除き、テレワークなどの対象を拡大する。「緊急事態」としてパソコンの持ち帰りを認めており、休暇取得も進める。保険年金課など区役所は、体制を縮小しつつ業務を維持する。
和泉市も、消防などを除く職員約900人を2班に分け、交互に隔日で出勤する体制に移行した。5月6日までの措置としている。
守口市は14日から、市役所近くの市有地を職員用の駐車場とし、電車通勤をマイカー通勤に切り替えることを奨励。これまでの時差出勤に加え、個人情報を持ち帰らないことを条件に在宅勤務を導入した。寝屋川市は、机の配置レイアウトを変え、ついたてを設置して職員同士の接触を減らしたとしている。