新型コロナウイルスの感染拡大で、収入が減った世帯への現金給付について国民1人当たり10万円を一律給付するという案が浮上している。現行の30万円を給付する案だと制度が複雑で不公平が生じかねないためだ。課題をQ&A形式でまとめた。
Q 現行案は
A 新型コロナの影響で2~6月の月収が前年に比べて減少し、国の定めた基準を下回った世帯や、月収が半分以上減って国の基準の2倍にあたる額を下回った世帯を対象に30万円を給付するという案だ。
Q 何が問題なのか
A 現行案では月収の減少を世帯主で判断することにしている。ただ、共働き世帯の場合、世帯主よりも配偶者の方が月収が多いケースもあり、世帯全体の収入や減収額は同じなのに、もらえる世帯ともらえない世帯が生じるのは不公平という指摘がある
Q 不正を懸念する声もある
A 給付を受けられるようにするため、世帯を2つに分けたり、アルバイト収入のある学生の子供を世帯主に変更したりするといったことが考えられる
Q 違法性はないのか
A 原則は生計を維持する人を世帯主とすることが求められているが、極端なケースでなければ認められることもありそうだ。虚偽の届け出をした場合は5万円以下の過料を支払う規定もあるが、30万円の給付のためなら不正を行う人が出てくる可能性はある。
Q それで10万円の議論が浮上した
A ただ30万円の給付はすでに閣議決定しており、方針転換は容易ではない。30万円がもらえると思っていた人にとっては10万円に減額となるためだ。30万円に10万円を上乗せ給付するとしても、公平性という課題は残ったままで、新たな財源も必要となる。
Q 10万円の場合は所得制限はあるのか
A 自民党の二階俊博幹事長は所得制限を設けるべきだとする一方、公明党は設けるべきではないとの考えで、与党内でも意見が分かれている。