新型コロナウイルスをめぐる政府の対応に逆風が吹く中、野党第一党の立憲民主党が追及の好機を十分に生かせずにいる。身内の不祥事や疑惑が相次ぎ発覚し、勢いをそがれているのが原因だが、執行部から危機感は見えない。
「国民の皆さまに行動自粛という大変な不自由をお願いしておきながら、お願いする立場の私がそれを破り、弁解の余地はない」
新型コロナ対策で政府が緊急事態宣言を発令した後に東京・歌舞伎町の「セクシーキャバクラ」で遊興し、立民を除籍(除名)された高井崇志衆院議員は17日、自身のツイッターでこう謝罪した。宣言が発令されてから2日後の9日のツイッターでは「『夜の外出自粛』では済まない」と発信し、政府の対応が不十分だと指摘していただけに、批判が自らに返ってきた形となった。
立民をめぐる不祥事や疑惑は他にもある。昨年12月には知人女性への強制わいせつ容疑で書類送検された初鹿明博衆院議員が離党。昨夏の参院選で初当選した石川大我参院議員が3月末の深夜、東京・新宿2丁目で国会議員の身分を強調し、警察官を“恫喝(どうかつ)”したとも週刊誌に報じられた。
ベテランの評価も下がり気味だ。安住淳国対委員長は14日、自民党の森山裕国対委員長と会談し、国会議員歳費の2割削減で合意したが、国民民主党の榛葉賀津也参院幹事長は「(野党間で)議論がなかったことに驚いた」と不満を隠さなかった。共産党の穀田恵二国対委員長も2割カットについて「筋が違う」と疑問を呈すなど、立民の根回し不足が野党の足並みの乱れを表面化させた。
最近の報道各社の世論調査で内閣支持率は軒並み低下している。緊急事態宣言の発令が遅すぎたことなどが影響したとみられる。ただ、世間の期待は野党にも寄せられていない。産経新聞社とFNNが11、12両日に実施した合同世論調査で立民の政党支持率は3・7%にとどまり、過去最低を記録した。
にもかかわらず、立民の現状認識は甘く、幹部は高井氏の不祥事についてはこう軽口をたたいた。
「(緊急経済対策に盛り込む現金給付をめぐる政府の迷走で)話題が吹き飛んだ。正直ありがたかった」(千田恒弥)
緊急事態宣言後にセクキャバ遊興の高井議員を立民が「除籍」処分