現住建造物等放火などの罪に問われた女(59)の静岡地裁浜松支部の裁判員裁判で、傍聴人が裁判員と接触していた問題に絡み、東京高裁で22日、女の控訴審判決公判が開かれた。栃木力裁判長は接触があったことは認めつつ「影響はなかった」と判断し、懲役7年とした1審判決を支持、弁護側の控訴を棄却した。
栃木裁判長は「裁判所は不公平な裁判の疑いがないと判断すれば、(被告側に)情報提供する義務はない」と述べた。
弁護人の丹羽聡子弁護士は「判決は裁判員に接触があっても開示しなくていいという内容。保障されるべき被告側の防御権を軽く見ている」と述べ、上告も視野に検討するとした。
控訴審判決などによると、昨年12月に判決があった女の裁判員裁判の審理中、裁判員2人が喫煙所で傍聴人から声をかけられ、「20件ぐらい不審火があった。あの人(女)だよ」などと起訴された事件以外の話を聞いた。弁護側は1審判決後、地裁支部からの連絡で問題を把握した。
地裁支部は取材に「支部としては接触の事実を1審の判決宣告後に把握した。(接触が違法かどうか)調査をするかは現在、検討中」と回答した。