【主張】緊急宣言「2週間」 できることはもっとある


 安倍晋三首相による緊急事態宣言から2週間が経過したことを受けて政府の専門家会議が提言をまとめ、「8割の接触削減の目標が達成されているとはいえない」として国民に一層の努力と工夫を求めた。

 新型コロナウイルスの国内新規感染者数は1日400人以上で推移している。累積の感染者は1万2000人を超えた。感染者の爆発的増加(オーバーシュート)になっていないが安心はできない。収束傾向にあるわけではないからだ。

 外出自粛やテレワーク、休業などでもう一段の努力をしたい。できることはあるはずだ。

 今まで通りでは感染のペースが衰えず、医療態勢も経済社会も持ちこたえられなくなる。

 専門家会議は、人との接触を8割減らす具体例として「10のポイント」を示した。

 その筆頭はビデオ通話によるオンライン帰省である。帰省や旅行で例年2千万人以上が移動する大型連休が迫っている。日帰りの行楽も含め多くの人が動けば感染は拡大する。

 3月の中旬から連休にかけての花見や旅行で感染が広がった苦い教訓を思い出したい。医療・感染症対策や物流関係などの利用者を除き、新幹線といった長距離列車や高速道路の料金を大型連休中は普段より値上げすることも考えたらどうか。

 スーパーや公園が感染の場となる新たな懸念が出ている。提言はスーパーへは1人または小人数ですいている時間帯に行くよう求めた。公園もすいた時間、場所を選ぶよう促した。

 政府や自治体にもできることはもっとあるはずだ。政府、自治体の責任者はやるべきことに全力で取り組んでいるか胸に手を当てて考えてもらいたい。

 PCR検査の態勢強化を今でも政府が叫んでいる先進国は日本くらいではないか。無症状・軽症者の宿泊施設の用意も後手に回っている。医療機関へのマスク、防護衣などの供給も不十分なままだ。最前線で働いてくれている医療従事者をきちんと支えないようでは政治の責任を果たしているとはいえまい。

 スーパーや商店街の密集対策は重要だ。入場制限に伴う客の整理で店が人手不足になるなら、感染症対策の観点から自治体職員を積極的に応援に出すべきである。



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