【北京=三塚聖平】新型コロナウイルスへの対応で停滞した経済活動の再開を進める中国で、感染防止に向けた隔離措置の期間を延ばす動きが出ている。首都・北京では施設での隔離終了後、さらに自宅で待機するよう求める措置を新たに始めた。入国者が隔離を終えた後に発症するといったケースが出ていることへの対応とみられ、計35日間の隔離を求める地域もある。
国営新華社通信によると、北京市政府は18日の記者会見で、指定施設で14日間の集中隔離を受けた人に対し、同措置を終えた後も引き続き自宅で7日間の隔離を行うよう求めた。同市では市外から戻った人などに2週間の隔離を行ってきたが、これが実質的に延長された形だ。
北京では今月、米国から帰国した中国人留学生が14日間の集中隔離を終え、居住地に戻った2日後に発熱などの症状が出て、その後に感染が確認されるというケースが報告されている。
市当局者は「ごく一部の感染者は潜伏期間が長い」などと警戒を示しており、そういった事例が隔離措置の長期化につながったとみられる。
中国誌「財新」(電子版)によると、中国各地でも隔離期間を延ばす動きが続く。南部の広西チワン族自治区は、帰国者と訪問者に対して施設で14日間、自宅で14日間の計28日間の隔離措置を行うと19日に表明。東北部の黒竜江省では、中露国境に位置する綏芬河(すいふんが)の出入境検査所を経た入国者などに対して計35日間の隔離措置を求めていると報じられた。同地域では、ロシアから帰国した中国人の感染確認が相次いでいる。
隔離措置は経済活動の本格再開を阻んでいると企業関係者が指摘する。だが、中国政府は、海外からの流入者や無症状感染者などによる「感染第2波」を警戒して対応を強化している。