4月27日の審議入りから4日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた令和2年度補正予算が30日の参院本会議で可決、成立した。経済や国民生活に影響が広がる中、一刻も早い支援が求められており、野党も政府・与党に歩調を合わせた。
立憲民主党や共産党などの野党が予算案に賛成するのは異例だ。得意の日程闘争も引っ込め、祝日だった29日の審議にも応じた。
立民幹部は「多くの問題があるが、今回はスピードを重視する」と説明する。国民1人当たり10万円の一律給付は野党が主張したとアピールするとともに、対策を遅らせているとの批判をかわす狙いがある。
政府は公明党などの反発で減収世帯への30万円給付を取り下げ、一律10万円給付に政策転換した結果、補正予算案の閣議決定をやり直した。このため審議入りは1週間遅れており、早期成立は不可欠だった。
審議では、政府が配布を決めた布マスクのメーカー選定に関し野党が政府を執拗(しつよう)に追及、「桜を見る会」の時と同様に政権の揚げ足取りに終始する様子も見られた。一方で、与野党が感染の有無を調べるPCR検査の拡大や迅速化を求めたが、政府から説得力のある回答は得られなかった。
安倍晋三首相は「いつ収束するか。残念ながら言うことができない」と述べ、家賃支援など追加対策に意欲を見せる。野党は連休明けに予算委員会の集中審議開催を求めており、政府の対応を改めてただす構えだ。(田村龍彦)