新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛が長期化し、消費行動や経済活動が低迷する一方で、栃木県内の企業からは「コロナに負けるな!」と、新たなニーズをとらえた商品やサービスも登場している。
コンテナハウスを手がけるピースノート(宇都宮市)は、可搬型の「コンテナ診療所」を発売した。長さ約6メートル、幅約2・4メートル、高さ約3メートルで、横たわった患者1人を医師が診察できるサイズ。細菌やウイルスを除去する空間除去設備を内蔵している。
建築基準法に適合し、価格は570万円から。自治体や医療機関の需要を見込んでおり、担当者は「来院者同士の接触を減らして院内感染を防ぐほか、災害時の簡易診療所としても活用してもらえれば」と話す。
「花粉症です」「ぜんそくです」などと周囲にアピールするバッジを売り出したのは、木工品製造の星野工業(鹿沼市)。「アレルギーを持つ子供が誤解されないように」(星野詠一社長)という親心から生まれたというアイデア商品だ。
スギの間伐材などにレーザー加工で文字を刻み、襟元やマスクに付けられるよう、ピン留め式とクリップ式を用意。同社やネット通販の楽天市場で300~350円で販売している。
資金繰りの悪化している中小企業に向けては、国が緊急融資などの支援策を打ち出す一方、制度により要件が異なるため「自社にも適用されるのか、判断が難しい」との声も上がる。
そこで会計情報サービスのTKC(宇都宮市)は、会計事務所向けのシステム「OMSクラウド」に新機能を加えた。会計事務所が持つ顧客企業の月次決算データを分析し、融資などを受けられるかどうかを自動判定できる仕組みだ。
栃木グランドホテル(栃木市)は、客室をテレワークや休校中の勉強の場として提供する「お役立ちプラン」を始めた。感染拡大を防ぐため地元客限定だが、市内には大手事業所が多いこともあって好評という。若林可奈子社長は「地元のホテルとして、地元に貢献したい」と話す。(山沢義徳)